心療内科・精神科のクリニックです。周辺環境との調和や視認性の良さを前提としながら、患者さんのプライバシー保護に十分に配慮し計画しました。屋内では光や緑を感じ、心身をゆるめて癒すことのできる設計です。(磐田市)
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【外観】
初めての方でもストレスなく見つけて入ることのできる外観としています。屋根の勾配は出入口・駐車場に向かって低くなるように設計し、エントランスへ向かう歩行者が建物に対して圧迫感を感じないよう配慮しました。全体として大らかな形状と柔らかな素材感の外装材で表情豊かに仕上げ、建築の第一印象としても親しみやすさにこだわりました。
門のような形のエントランスは濃色で全体を優しく引き締めると共に、どんな人にも直感的に入口の位置がわかるよう目印の役割も担います。またアクセスは車が中心になることから、駐車場は運転が苦手な方にも出入りしやすく駐車しやすい広々とした設計になっています。
敷地周辺は閑静な住宅街。ガーデンタイプの集合店舗や小さな公園などの憩いの場も点在しています。こうした「文脈」をふまえ、道行く人が眺められる通り沿いにも植栽を計画しました。オリーブ、ベリー類やアオダモなど和洋の草花をバランスよく配置し、一年中自然を感じることができます。
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【受付】
入口至近に設けた受付は見つけやすさと外からの視線が入らないことを両立させました。上部に吹抜けを設けて高い位置に窓を設けることで、プライバシーは守りつつも明るい光を受付へ届けます。光と風の通う空間で、さわやかな対話をサポートしています。
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【待合室】
外壁に使用した木目をそのまま内部の壁へ連続するよう計画。勾配天井と組み合わせて待合空間に拡がりを持たせています。インテリアは明るく柔らかな色と素材をベースに、ブラウンで全体を落ち着かせています。存分にリラックスできるよう、ソファは1人がけタイプを採用。張り生地は防汚抗菌仕様の特殊ファブリックです。また、中庭の見える窓は視線の位置を避けて上下に設けることで外部からの視線を防ぎます。床に近い地窓からは、タマリュウにマンリョウ、クリスマスローズなど和洋折衷の緑が顔を覗かせます。
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【診察室】
調湿・消臭効果のある多孔質タイルをアクセント壁に採用し、室内環境が良い状態で保てるよう配慮しています。窓の位置は外から視線が入らない中庭側とし、安心して診察を受けられる仕様としました。防音の引戸を採用しているため、外に会話が聞こえるのを気にすることなく相談できます。
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【トイレ洗面】
鏡まわりには吸湿・消臭機能のあるタイルを採用しています。また洗面利用者と後から入室した人が不意に顔を合わすことなく気配だけがわかるよう、隔てパネルは半透明のものを採用しました。