浜松の設計事務所 和楽舎設計工房です。
どんな建物にも欠かせない基礎工事ですが、
完成してしまうとなかなか目にできない部分でもあります。
本日は、そんなコンクリート基礎工事の監理についてお話ししたいと思います。
建物の強度を設計書通りに出せるよう、
現場に搬入したばかりの生コンクリートの品質をチェックします。
1.塩分量測定
コンクリートを構成する成分は
セメント、水、
そして
砂利や砂を混ぜた骨材です。
この骨材が海水などの塩分を多く含んでいると
躯体の錆びにつながります。
そこで、
塩素イオンに反応して色が変わる測定器を用いて
事前に塩分を検査するというわけです。
塩分量の基準値は0.3kg/㎥ですが、
試験体3本の平均が基準値を下回れば合格です。
今回の平均測定値は、0.056kg/㎥。
天竜川周辺から骨材を採取しており、
淡水由来で塩分が少ないという地の利も無関係ではありません。
優秀な結果に、一安心です。
2.スランプ試験
搬入した生コンクリートが
どのくらいの流動性があるかを検査するのがスランプ試験です。
スポーツ選手が「スランプに陥る」などと言いますが、
「スランプ」とは「ガタっと落ちる」というニュアンスで使われる単語。
高さ30cmの円柱状のコーンの中に
生コンクリートを詰めて地面に置き、
コーンを引き上げたときにコンクリートが
どれだけダレて下がるかを測定します。
スランプ値(下がった高さ)の基準は15cm。
測定値が±2.5cm以内に収まっていれば合格です。
スランプ値は高い(沢山下がる)と水っぽく弱いコンクリートであり、
逆に低い(あまり下がらない)と粘りが強く作業がスムーズにできません。
今回の測定結果は14.5cm。
こちらも合格です。
3.空気量測定
生コンに水分が多いと強度が出ませんが、
強度を確保しつつ
柔らかく作業しやすいコンクリートにするため、
AE剤という発泡剤で空気を含ませています。
この空気量も多すぎると強度が下がってしまうため、
空気含有率を検査します。
普通コンクリートの許容値は、4.5±1.5%。
今回の測定結果は3.8%。OKです。
4.圧縮強度試験
今度はコンクリートが固まった後の強度が測れるよう、テストピースを採取します。
定められた検査基準では、
材齢(コンクリートを打ってから経った日数)28日にて試験します。
28日、つまり4週間後にテストピースを生コン工場へ持ち込み、
試験機で上下から圧縮試験を実施しました。
見た目にはわかりませんが、
3つのテストピースがコンクリート内部で破断した平均値を検査します。
こちらも設計基準の強度をしっかりとクリアしていました。
その後現場では
さらに正確な施工のための下準備を進めます。
木の土台を組み立てる前に、
コンクリート基礎の天端に「レベリング材」を流し込み、
凹凸のない正確なフラット面になるよう整えます。
ツヤツヤと光る仕上がりが、写真でも見ていただけると思います。
お客様と創り上げたデザインを支える構造は、
実際の工事が設計通りに実施されて初めて成り立ちます。
しかし工事が進むと基礎部分は隠れ、
このような重要なチェックはできなくなってしまうのです。
工事監理は、タイミングが命。
普段は見られない建物の舞台裏について、
少しだけご紹介させていただきました。
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夢をかなえるお手伝い 住まいの設計パートナー
和楽舎 設計工房 山 崎 正 浩
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