山﨑里沙です。
先日は野球場で有名な甲子園へ出張。
同業の先輩の事務所へ伺いました。
 
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今回の目的は勉強会。
「建築パースの巨匠」と呼ばれる宮後浩先生が、手描きパース(立体を表現した完成予想図)を直伝してくださいました…!
 
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先生との出逢いは約10年前。
当時の私は関西で異業種から転身したばかりで、同業の先輩方からご紹介いただいたのがきっかけでした。
パースで叙勲も受章され、業界で知らない人はいない先生ですが、いつも明るい関西弁と笑顔で気さくに接してくださいます。
 
「手描きパースは楽しい!」
「先生のように軽快に描いてお施主様にワクワクを提供したい!」
 
と、心から思わせてもらえます。
 
 
この日は私達に見えるようにと、「さかさま」で描きながらレクチャー。
 
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完成!
 
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なんと着彩も「さかさま」から…!
 
1枚の所要時間は丁寧な説明つきで、わずか25分。無言で描けば10分ほどでしょうか。
設計の打ち合わせ中に、その場で描けてしまう位あっという間ですね。
 
 
しかもこれは絵画ではなく、あくまで「建築パース」。透視図とも呼ばれる図面の一種で、間取りや各寸法が他の2次元の図面と合っているのです。
 
建築課程で習うパース作図といえば、スペースも時間も膨大にかかります。
A4サイズ大の成果品を描くのにもA2サイズ程の作図用紙が必要で、遠くに基準点を置いて、そこから長ーい下線を何本も引いて…という、気の遠くなるような下準備が必要です。
 
そのため、宮後先生の「速描きパース」を知った時はかなり衝撃を受けたのを覚えています…
 
いっぽう現在はPCソフトも普及し、CGも手軽に作れるようになっています。
CGは、そのリアルさから建築プロジェクトの各段階のうち後半となる「実施設計」や「工事監理」の段階で、具体的な材料選定の際に重宝します。
 
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しかしプロジェクト前半の「基本設計」では、手描きならではの表現がとても良い仕事をしてくれるのです。
それは私自身も実務の中で実感しており、手描きを学び続ける原動力にもなっています。
 
 
これは、手描きの持つ「2つの役割」が大きく関係していると思われます。
 
 
1.意見交換ツール
 
今回学んだパースのように、初回プレゼンテーション等でお施主様に提示するために描くものです。
写実的なCGでは出せない「絵のその先」をお施主様と一緒に想像し、考えや希望を出し合うために使います。
 
 
2.思考ツール
 
誰かに見せるためでなく、設計前の構想段階から自分の思考を深めるために描きます。
手を動かすことは、脳を動かすこと。
描きながらアイディアを発展させ、線とともに設計を練り上げていきます。
 
 
 
和楽舎も、代表の山﨑が以上のような手描き・手しごとの役割を大切にするために創業した事務所です。
建築のキャリアは先生が50年、代表が40年。私はまだまだ…ながらも想いや技をしっかり伝承できるよう描き続けます!
 
 
 
というわけで、濃い勉強会を振り返ってみました。
先生、みなさま。ありがとうございました!
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