ロシアによるウクライナ侵攻の被災者に対する、
建築家 坂 茂氏の支援が話題になっています。
 
難民としてウクライナの周辺国に避難した人々の避難所に、
「紙の間仕切システム」を設営したのです。
 
 
「紙の間仕切システム」とは、坂氏が生み出した簡易的個室のこと。
紙管を骨組みに、布をカーテンのように掛けて空間を仕切りします。
Paper Partition Systemの名称から、通称PPSと呼ばれるシステムです。
 
02_003xtech.jpg
写真:日経XTECH
 
 
2011年の東日本大震災を皮切りに、
国内外の災害避難所にこのシステムが使用・重宝されてきました。
 
特に東日本大震災の際は大きく報道もされたので、
見覚えのある方も多いかもしれません。
 
 
今回の支援について坂氏は、
 
「テレビで難民の受け入れ施設が映ると、
人々が雑魚寝している状況だった。
プライバシー確保だけでなく
感染症対策の観点でもPPSの必要性を感じ、
すぐに支援しようと思った」
 
とコメントされています。
 
 
坂 茂氏は元々、
紙管を建築の構造材として使うことで知られる建築家です。
避難所においても安定した品質で
プライバシー保護機能を確実に遂行し、
しかも美しいシステムが提供されているのは
建築家として紙管と「仲良く」してきた
バックグラウンドあってこそですね。
 
ちなみに、ここ静岡県にも坂氏の設計した建築
「静岡県富士山世界遺産センター」
があり、先日行ってきました。
こちらでは、椅子の背面と座面が紙管で作られています。
 
 
椅子.jpeg
 
シンプルで愛嬌あるデザイン。
座ってみると硬さと丸み、優しい質感が絶妙なバランスでした。
 
 
 
※建築について
 
外観001.jpeg
「逆さ富士」の形をした展示棟は、
水盤に「富士山」の形になって映る圧倒的なデザイン。
展示棟内部は、
らせん状に登山するように登りながら
展示物を見ていく順路になっています。
そして…建物上部からは、本物の富士山が展望できます。
 
壁を覆うのは「富士ヒノキ」なるブランド木材で、
全部で6,973ピースの部材が
編み込んだように組まれています。
展示棟壁.jpeg
ヒノキ1.jpeg
ヒノキ2.jpeg
 
避難所の紙管と、景勝地の紙管。
 
心身に安心・安全を提供すること。
美しさに心動かすきっかけをつくること。
 
どちらも建築家の社会的な役割であり、
プロとしての姿勢を改めて学んだ出来事でした。
 
 
参考:
 
 
 
(スタッフ:里沙)
 
 
 
【works(浜松 磐田)】
 
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