こんにちは。スタッフ里沙です。
 
 
昨日の日経新聞で、
こんなニュースが配信されました。
 

災害危険地、住宅優遇せず 支援線引きで立地誘導

「2021年度にも、災害の危険が高い地域(の住宅)を
改修費用の補助などの対象から外す方針」
ということで、
崖崩れなどの危険が高い場所を避けて住まいを設けるよう、
国土交通省はこれから本格的に促していくようです。
 
 
ところで崖地に関しては、
もともと崖崩れによる建築物の被害を防ぐための
「崖地条例」
なる規定が、各自治体にて定められています。
 
建築物を建てる上でも重要な条例となりますので、
静岡県を例に、内容を少しご紹介してみます。
 
 
 
「静岡県建築基準条例第10条(がけ条例)」
 
「崖」の定義
 
静岡県の崖地条例でいうところの「崖」は、
 
「水平面からの勾配が30度を超え
かつ高さが2メートルを超えるもの」
 
となっています。
 
がけの高さ.jpg
(図:静岡県都市住宅部建築課より)
 
 
 
崖地条例が制限していること
 
該当の崖がある土地では、
 
「崖の法面下端(ふもと)から
崖の高さの2倍以内の距離に建築物を建てる場合は、
安全な擁壁を設けなければならない」
 
という規制が適用されます。
 
ここで言う「安全な擁壁」とは、
土でできた崖側面の崩壊防止のため、
コンクリートなどにより支える壁状の構造物のこと。
建築基準法で詳細の仕様や工法が定められていて、
確認申請や宅地造成許可申請が必要となります。
 
↓こんな感じです。
 
653510_m.jpg
 
たとえ自分の所有する土地であっても、
「安全な擁壁」が無い崖地には
建物を建てられない
ということになるのです。
 
 
 
緩和規定がある
 
「安全な擁壁」を設ける以外に、
崖地に建物を建てるための緩和規定があります。
 
「堅固な地盤を斜面とするがけ又は特殊な構造方法
若しくは工法によって保護されたがけで、
安全上支障がないと認められる場合」
 
(がけ下に建築物を建築する場合)
「主要構造物を鉄筋コンクリート造
又は鉄骨鉄筋コンクリート造とした建築物で、
がけ崩れ等に対して安全であると認められる場合」
 
 
これらの条件にあてはまるかどうかは、
地盤調査や構造計算によって確認することができます。
また、調査結果によっては適切な対策を施すことで
規制を緩和できる場合があります。
 
 
 
 
・・・安全第一。
冒頭のニュースは、災害が増えている昨今において
必然の流れとも言えます。
 
一方で、日本ならではの美しい自然環境を享受できる
住宅や集落が、今後減ってしまうかもしれない…
ということを忘れず、
建築に携わる者として思考を続けよう、とも思うのです。
 
 
 
というわけで
今回は崖地条例を紹介した流れで、
最後に所長・山﨑のプラン、
「伊豆の家」の一部をご紹介。
独立前に作った、かなり前の作品とのこと。
崖のメリットを活かした、全室オーシャンビューの住宅です。
 
伊豆の家_西立面図_0.jpg
 
(スタッフ:里沙)
 
 
 
 
 
 
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