浜松の設計事務所 和楽舎設計工房です。

 

どんな建物にも欠かせない基礎工事ですが、

完成してしまうとなかなか目にできない部分でもあります。

本日は、そんなコンクリート基礎工事の監理についてお話ししたいと思います。

 

建物の強度を設計書通りに出せるよう、

現場に搬入したばかりの生コンクリートの品質をチェックします。

 

 

1.塩分量測定

 

PA100010.JPG

 

コンクリートを構成する成分は

セメント、水、

そして

砂利や砂を混ぜた骨材です。

 

この骨材が海水などの塩分を多く含んでいると

躯体の錆びにつながります。

そこで、

塩素イオンに反応して色が変わる測定器を用いて

事前に塩分を検査するというわけです。

 

塩分量の基準値は0.3kg/㎥ですが、

試験体3本の平均が基準値を下回れば合格です。

 

今回の平均測定値は、0.056kg/㎥。

 

天竜川周辺から骨材を採取しており、

淡水由来で塩分が少ないという地の利も無関係ではありません。

優秀な結果に、一安心です。

 

 

 

2.スランプ試験

 

PA100011.JPG

 

搬入した生コンクリートが

どのくらいの流動性があるかを検査するのがスランプ試験です。

 

スポーツ選手が「スランプに陥る」などと言いますが、

「スランプ」とは「ガタっと落ちる」というニュアンスで使われる単語。

 

高さ30cmの円柱状のコーンの中に

生コンクリートを詰めて地面に置き、

コーンを引き上げたときにコンクリートが

どれだけダレて下がるかを測定します。

 

スランプ値(下がった高さ)の基準は15cm。

測定値が±2.5cm以内に収まっていれば合格です。

スランプ値は高い(沢山下がる)と水っぽく弱いコンクリートであり、

逆に低い(あまり下がらない)と粘りが強く作業がスムーズにできません。

 

今回の測定結果は14.5cm。

こちらも合格です。

 

 

 

3.空気量測定

 

生コンに水分が多いと強度が出ませんが、

強度を確保しつつ

柔らかく作業しやすいコンクリートにするため、

AE剤という発泡剤で空気を含ませています。

この空気量も多すぎると強度が下がってしまうため、

空気含有率を検査します。

 

PA100012.JPG

普通コンクリートの許容値は、4.5±1.5%。

今回の測定結果は3.8%。OKです。

 

 

 

4.圧縮強度試験

 

今度はコンクリートが固まった後の強度が測れるよう、テストピースを採取します。

PA100013.JPG

 

定められた検査基準では、

材齢(コンクリートを打ってから経った日数)28日にて試験します。

28日、つまり4週間後にテストピースを生コン工場へ持ち込み、

試験機で上下から圧縮試験を実施しました。

見た目にはわかりませんが、

3つのテストピースがコンクリート内部で破断した平均値を検査します。

PB070003.JPG

こちらも設計基準の強度をしっかりとクリアしていました。

 

 

その後現場では

さらに正確な施工のための下準備を進めます。

 

木の土台を組み立てる前に、

コンクリート基礎の天端に「レベリング材」を流し込み、

凹凸のない正確なフラット面になるよう整えます。

ツヤツヤと光る仕上がりが、写真でも見ていただけると思います。

PA310011.JPG

 

 

 

お客様と創り上げたデザインを支える構造は、

実際の工事が設計通りに実施されて初めて成り立ちます。

しかし工事が進むと基礎部分は隠れ、

このような重要なチェックはできなくなってしまうのです。

 

工事監理は、タイミングが命。

普段は見られない建物の舞台裏について、

少しだけご紹介させていただきました。

 

 

 

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